いつもいつもいつも物事がうまく運ぶ訳ではない。
そんな事は分かり切っている。
しかしながらもどかしい。
どうしてこう自分の頭は回転が鈍いのか、斬新奇抜なアイデアが生まれだして来ないのか?
悩みの種は尽きない。
公園の片隅に打ち捨てられた、気の抜けたサッカーボールを眺めながら、僕はそんな事を考えていた。そこはとても小さな公園で、住宅街のど真ん中に、隣接する家々に挟まれるようにして存在していた。盤の上で周辺を完全に敵の色に囲まれたオセロの駒のように、その公園はひどく孤立した場所だった。
考えるのにも飽きて、僕は座っていたベンチから立ち上がり、べっこりと凹んだサッカーボールのところまで歩いていった。
滑り台のところでは一組の父子が遊んでいた。父親は若く、僕とほとんど変わらない年齢に見えた。道路に面した公園の入り口では高校生くらいのカップルが柵に腰掛けて話をしていた。道路の方にはほくほくと歩いてゆく老夫婦の姿があった。
僕はサッカーボールを軽く蹴飛ばした。
ポクンという音がして、少しだけ転がった。
今、自分の頭を蹴飛ばしたら、こんな音がするのではないか?
そう思うとなんとなく、もう一度蹴ろうという気にはなれなかった。
すると、滑り台で遊んでいた男の子が、滑り落ちた勢いそのままに走り込んで来て、僕の目の前で思い切りボールを蹴飛ばした。
予想に違わず、ボールは鈍い破裂音のような音をたて、敷地を区切るフェンスにぶつかったのだが、その一連の音の連なりは不思議と小気味良いものに聞こえた。
男の子は勢いをまるで失わず、けたたましいまでの笑い声を上げながら、滑り台の方へと走って戻っていった。
なるほどな、と僕は思った。
とりあえず笑っとこう。
いつの間にか気分が入れ替わっている。
何か書けそうな気がしてきた。
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