はてさて、天野喜孝の展示会に行ったら、腹の立つことがあった。
そこのスタッフ達がやたら売り姿勢を見せるのだ。
いくらも絵を見ていないうちに一人が話しかけてくる。
連休はどうだとか天気がどうだとか。
何の会話だこれは?
と思いつつ、まあ応えていると、終わる気配がない。
嫌な予感。
そのうち「お仕事は何を?」と聞かれて「バイトです」と言ったら、いくらかお茶を濁して何処かへ行ってしまった。
やっと落ち着いて絵が見れる、と思ったら、今度は別のおばちゃんが話しかけてくる。
しかもなんか「私は天野を理解してますのよふふふん」的な嫌な空気だ。そのうちFFからのファンは本当のファンだとか言い出した。なんかむかついてくる。
絵に集中したかったので途中から会話をシカトしたら、やっと話しかけなくなって来た。
会話の中で分かったことは、ここのスタッフ達は要するに版画を売りたいらしい。
原画を飾った細い通路の行き着く先にやたら広い版画スペースがあって、壁から離れたところに三四人掛けのテーブルが数組設置されている。そこで、どうやら「これ買え」と丁寧に進められている二人連れの女子が二組。小耳に挟んだ金額は、ン十万。なぜ?
昔からこんな奴らはいた。
特に欲しいとも思っていない者に、セールストークで売る方向に持っていこうとする奴ら。
価値が判断できない者を言いくるめるやり方だ。
これが天野喜孝の展示会で行われていることが、腹が立つ。これはもう、アーティストに対する侮辱でしかないのではないか? 天野作品は、そんなことしなくても買う奴は買うだろう!? つまり、何回も使ってる版でおいしい商売しようとしてるんだろう?
そんなことを考えながら、腹の立つまま会場を後にした。
僕の考えは間違っているだろうか。
それとも、これがアートの世界の常識なのだろうか。
なんかむしゃくしゃしたので、足の裏はあいかわらず痛かったが、さらに移動する。
定期で渋谷まで行き、そこから井の頭線に乗り換える。
僕は下北沢で降りた。
学生時代、ほとんど毎日ふらついていた街だ。
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