欲望のコントロ−ルは難しい。
何かが欲しい。
飢えを満たしたい。
足りないもの、満たされない事への渇望。
一旦考え始めると、
全ての理性は失われ、思考の活動が奪われる。
僕の右手は、何かを欲している。
僕の意図にない動きを見せる事がある。
書こうとした文字は別の文字として描かれ、
支離滅裂な文章しか残らない。
僕は魚の背中を愛し、山中の小屋にこもった。
中に入るとそこは嵐で、そこかしこに母が立っていた。
よく見るとそれは別れた恋人だったかもしれないが、おそらく何かの天災だろう。
こんな事は今まで何度もなかった。だから私は理解したようだ。
諦めても挑んでも世界は僕のものだ。
新しい彼女が突然僕に平手打ちを食らわせ、僕の意識は地中に潜った。
土の中から空を見上げると、ガラスで出来た舞台を下から眺めているみたいだ。
彼女の海は美しい。
僕が彼女の服を脱がすと、親友がやって来て俺もやる、と言い出した。
僕らはみんなで服を脱がしあった。
魚のけたたましい笑い声が響き、窓を突き破って飛び込んで来た鳥が激しく体を明滅させた。
七色の光の中で僕らは踊った。
飛び交う汗が繋がりあって、我々は次第に固まり一つになった。
高級なベッドのマットレスに包まれているような、ふかふかとした胎内で僕は時間の事を思った。
そろそろ会社に遅刻してしまう。いや、それは自由だ。
遅刻は普通だ。時間がいけないのだ。そうやって人間は成長するのだ。
僕はめんどくさがる彼女を抱き寄せてこっそり髪の毛の密度を確かめた。
それから耳たぶの裏を丁寧になめあげて、人生の成功を誓った。
愛してるよ、みんな。
こんな文章は、全て右手の所為なのだ。
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